静まり返った部屋の片隅で、私は出来るだけ身体を縮める。
すでに痛い程の静寂に慣らされた耳には自分自身の呼吸や鼓動すらもあまりに大きく響くので、潜めたつもりの息でさえ今もこの家のどこかをうろついているであろう殺人鬼に聞こえてしまうのではないかと気が気でない。
そういえば、他の子たちはどうしただろう。もう見つかってしまっただろうか。
その時、私が身を隠しているクローゼットの外で床が鳴った。
確実に一歩ずつ近づいてくるのは間違いなく大人の男の足音で、それが味方であるはずはなかった。
しんとした空間で、やたら大きく主張を続ける足音。私に逃げ場はなく、とうとう扉の隙間に差し入れられた手を見た瞬間に終わりを悟った。
果たして目の前に現れたのは、予想通りの白いマスクの顔——殺人鬼の顔だ。
もうどうしようもない。
短く息を吐く私の元へ、大きな影がゆらりと腕を伸ばした。
「……あー、見つかっちゃった」
大きな手に立たせてもらいながら、思ってたよりも早かったなと思う。やっぱりかくれんぼって大人は不利だよねえ。
「ところであと何人?」
私が訪ねると、マイケルは子犬のように首を傾げた。